2014年5月のエントリー 一覧

(その29)で終わってしまうのは、なんとなくキリが悪いので。。。おまけの記事。

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リトアニアで買ってきた琥珀のグッズ一式です。ヴィリニュス空港で買ったこのハリネズミのマグネットクリップが私のお気に入り♪ ヴィリニュスの琥珀博物館で買ったアクセサリーにはちゃんと「Certificate」を付けてもらえました。

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そしてバルト三国で買って帰った酒一式!(笑)。。ビールだけで20本くらい。下着とか余計な荷物は全部旅先で処分して、スーツケースに詰められるだけ詰めてきました。預け入れ荷物の重量で引っからないかハラハラしましたが、どうにかギリギリセーフ。もちろん成田での帰国時の税関申告はしましたよ。酒類の持ち込みは合計mlで計算したものから免税分をマイナスするので、実際に追徴される関税は意外なほどに小額です。

たくさん持ち帰ったはずのビールですが、あっという間になくなってしまいました...(^^;)。日本国内でもバルト三国のビールを手軽に飲める日が来ることを、心から願ってやみません。

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とうとう旅の最終日。。。かなり旅の疲れが溜まってたけれど、荷造りは前日のうちにすませておいて、この日もがんばって早起き。午後早めの時間に出発の飛行機だったのであまり時間はなかったのですが、ホテルから近いハレス市場にもう一度行ってきました。

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これは「シャコティス」という、リトアニアの伝統的なお菓子。ドイツのバウムクーヘンに似てますが、このシャコティスの方が歴史は古いそうです。お土産に買って帰りたかったのですが、すでにスーツケースはパンパンな状態。残念ながらあきらめました・・・。

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市場の一角にあった総菜売場。ここで選んだものをその場で食べる事もできます。朝食を食べにきている地元の人たちに交じって、私たちもリトアニアらしい料理をいくつかピックアップ。ヴィリュスでの最後の楽しい思い出となりました。

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ヴィリニュス駅から空港へは、この最新型の列車で行くことができます。空港まで10分足らずの所要時間。ホームからはエレベーターで地上まで上がり、そこから空港までを少しの距離歩きますが、荷物移動用のカートも置いてあるし、駅から空港へのアクセスはかなり快適でした。

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ヴィリニュス空港はとてもこじんまりとしてるので、手続きのカウンターを探して焦ったりすることはないのですが、お土産を買ったりするお店も少なくて、余裕もって空港に到着するとかなり時間を持て余します...。

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やることもないので売店をぶらぶら。子ども向けの本のコーナーに、キティちゃんの絵の付録がついてる雑誌を発見。リトアニアでもキティが人気なんでしょうかね。

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チェックインをすませ、出発ロビー内のカフェでリトアニアビールの飲み納め。バルト三国のビールはどれもみんな、本当にうまかったなぁ。。。

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ヴィリニュス空港から再びコペンハーゲンの空港を経由して帰国。10日間に渡るバルト三国の旅は、これでおしまい。こうやって書き綴ってみると盛りだくさんの内容でしたが、旅してる間は毎日があっという間。もっともっといろんなところ見て回りたかったけど、ヨーロッパ初心者の私にとってはこれ以上にない充実した旅となりました。

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さて、今回の「バルト三国の旅」の感想まとめ。。
エストニア、ラトビア、リトアニアを回ってみてまず感じたのは、三国とも街全体にとても活気があって、人の表情が明るいこと。苦難を極めた社会主義時代から完全に脱却し、国全体が急激に成長しているだと実感しました。どこに行っても治安は非常に良くて、とても快適な旅を続けることができます。

そしてもうひとつ。当たり前のことかもしれないけど、「バルト三国」といってもそれぞれが違う個性を持つ国であることを実感できました。エストニアは、気候風土や文化的にもフィンランドと重なる要素が多く、バルト海沿岸諸国というより北欧の国なのだという印象。それに対してラトビアのリガは明るくて開放的な都会。その重層的な街並のあちこちにドイツの面影を色濃く感じます。リトアニアは中欧ヨーロッパの街並と似ているように感じたけど、一方で西欧キリスト教世界とは異質な世界観も根深く残しているようにも感じました。

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エストニア、タリンのラエコヤ広場。さっきまで晴れていたのに突然雨が降ってきたりします。

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ラトビア、リガの通りがかりのビヤホール。ラテン系?と思わせる陽気な若者たちが手を振ってくれました。

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リトアニア、カウナス新市街の洗練された街並。リトアニアは美人が多い国。。

途中の記事で書いた通り、当初はリトアニアに行くことが目的だったのですが、直前で計画を変更してバルト三国とフィンランドを回ることにして本当に良かったと思ってます。本やTVなどで「知る」ことと、実際に自分の目で見て感じてみて「知る」こととは、とてつもなく大きな違いがあるのだと実感しました。旅行のあとで学んだことでもあるですが、三つの国はそれぞれが異なる民族的ルーツと歴史的背景を持っていて、現在の国の形ができるまでの変遷はとても複雑。にもかかわらず、それを漠然としたイメージでひとまとめにされることを、彼ら自身はあまり好ましく思っていないそうです。「バルト三国」という言葉を使う時にはそのことを心の片隅に置いた方が良いと思うし、その上でそれぞれに「共通するもの/違うもの」を丁寧に見て行くことが大事なのだと今は思っています。

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ところで、四つの国を巡ってみて私が一番気に入ったのは、実はエストニアでした。タリンのあの幻想的な街並が大好きになったし、工芸品や雑貨などに見るセンスの良さと、先鋭的なアートとの親和性の高さにとても興味を感じたからです。2011年の9月末にバルト三国を旅行して、その2ヶ月後に「日本・バルト三国国交樹立90周年&国交回復20周年」を祝う「Baltic Week」という催しがあって、コンサートや物品販売など様々な催しが集中的に開催されていました。タイミング良くそのような記念事業に参加することができたのは、とても幸運な出来事。そしていつの間にやら「日本・エストニア友好協会」の会員になっていました。。(笑)。その後も友好協会主催の様々なイベント等を通じて、素晴しい出会いや刺激的で充実した体験に恵まれています。

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日本・エストニア友好協会のクリスマス会(2013)。駐日エストニア特命全権大使のタサ氏をお招きして。

私が旅行したのは2011年でしたが、その後のたった三年の間にもバルト三国に関する書籍が増え、ネット検索でヒットする国内サイトやブログも格段に多くなっています。でも、まだまだ情報が少なくて、日本からは「遠い国」という印象。これからはじめて行く人に、ちょっとでも参考になればと思って、長々と旅行記を綴ってみました。三年前のことなので、記憶が曖昧な部分もあるのですが・・・もしも間違ってる内容があったらご容赦ください。 おそらく多くの人が想像してるよりも、とても快適に旅を楽しめる国だと思います。世界遺産の街並があり、地方に行けば雄大な自然が広がっていて、数多くの観光資源を有した国々です。パリやロンドン、ローマ等の巨大観光都市に行くのとはまた違う魅力が溢れていると思います。機会あれば、ぜひ訪れてみてください!〈おしまい〉

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長々と綴ってきたバルト三国の旅ですが、いよいよ最後のイベント。この日、早起きして向かったのは、ヴィリニュス郊外にある「トラカイ島城」。湖の向こう側にぽっかりと、赤い三角帽子の古城がその姿を現しました。

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まるでおとぎ話に出てきそうな、メルヘンチックな外観。でも、そのかわいらしい印象とは裏腹に、トラカイ島城は重要な軍事拠点でもありました。

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13世紀後半、君主ケストゥティスは、ガルヴェ湖上に浮かぶ島に城の建設を命じます。王家はここを居城とし、宝物庫も移動。ドイツ騎士団との攻防の要としても重要な役割を担い、その後も増改築を重ねて堅牢な城となりました。14〜15世紀のトラカイ島城と城下町はリトアニア大公国の中心になったのです。しかし16世紀に入って政治的・軍事的機能を失ってからは次第に衰え、ロシアからの攻撃を受けて城は崩壊。その後は荒れ放題になっていた時代が続き、再建の事業が始まったのはようやく20世紀に入ってから。ソ連占領時の紆余曲折を経て、独立回復後の1990年代初頭に修復工事が完了しました。

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城の本丸となる建物。2棟の建物が連なる中央の塔は、6階建て、35メートルの高さがあります。

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公爵宮殿の中庭。壁面には木製の回廊が設置されています。当然ながら建物内にも階段がるのですが、この外回廊は主に物資の運搬に使われたそうです。

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宮殿内の広間は、当時の様子をそのままの形で残してあるそうです。赤煉瓦を使ったゴシック様式のアーチ式天井が力強い美しさを放っていました。

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建物内の各部屋では、かつての城の姿を伝える遺跡や資料、宝物の展示がされていました。展示された宝物の装飾や、当時の衣装などを見ると、ヨーロッパ西側とは明らかに異質な文化であったのだと感じずにはいられません。

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平日だったせいか観光客は割と少なかったのですが、学校の先生に引率された子どもたちが大勢見学に来ていました。そういえば、この子供たちと資料展示室で一緒になったとき、私の近くにいた女の子が「この珍獣は何!?」と、驚愕のまなざしで私のことを見つめていた姿が忘れられません...(笑)。きっと、あの子たちにとってはじめて見るアジア人は、古城の宝物以上に興味をそそられる対象だったのかもしれませんね。。。

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ところで、このトラカイ島城は「小さなマルボルク城」と呼ばれることがあるそうです。マルボルク城とは、ドイツ騎士団がバルト海沿岸地方征服の拠点として建設した巨大な城のことです。確かに外観が似ていますね。。。それもそのはず、休戦中の時代にドイツ騎士団の石工が拡張工事の指揮を執っていたのだそうです。しかもそれは1410年の有名な「グルンヴァルトの戦い」直前のこと。両者が激しい戦闘を繰り広げた城なのに、その増改築を受発注しているなんて・・・なんとも不思議な関係ですよね。。。(^^;)

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トラカイと呼ばれる地域は、2つの湖に挟まれた南北に細長く伸びる半島。この周辺には200を超える湖があって、その美しい景観は自然公園として保護されています。古城見学だけでなく、ボート遊びやハイキングなどを楽しめる行楽地として、国内でも人気の観光地となっているそうです。城に近い湖の沿岸には、いくつかのレストランやカフェが点在しています。

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その中の一軒、通りから少し奥まったところにあったお店で、この日のランチをいただきました。木々に囲まれたちいさなテラスに、かわいい猫がお出迎え。

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メニューがまったく読めなくて、よくわからなかったのですが・・・店員さんに聞きながら、郷土料理っぽいものを選んでみたつもり。ヌードルの入ったスープは、確か羊肉で出汁をとったもの。ミートパイは、羊・豚・牛から選べました。

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面白かったのが、このタジン鍋のような器を使った料理。これが郷土料理なのかどうかはわからないのですが、このお店では自慢の料理のようでした。羊肉の味が濃厚で美味。

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トラカイの名物料理として一番有名なのは、前々回の記事に書いた「キビナイ」という羊肉のミートパイ。トラカイ島城に行く途中の道で、こんな風に地元のおばさんたちが手作りのキビナイを売っています。当たり外れがあるかと思いますが、私はこのときに路上で買ったキビナイが最高にうまかったです。。

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トラカイへは、ヴィリニュスからバスで40〜50分くらい。確か1時間に2〜3本走っていました。バスターミナルのインフォメーションに行くと、バスの出発時間と乗車口(出発時間によって変わります)がプリントされたタイムテーブルをもらえます。ただ、バス停を降りてから城までの道程が結構遠い......。こんな感じの道を延々と20〜30分歩くことになります。。

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トラカイは、カライム人、タタール人、ロシア人、ユダヤ人などの異なる民族が共存して築かれた町で、中でもカライム人がこの地に独自のコミュニティを築いてきました。カライム人はトルコ系の独自言語を持つ少数民族で、ユダヤ教の一派とみなされています。彼らのルーツは、今日の世界情勢で注目を集めているクリミア半島にあるそうです。14世紀末、現ウクライナ南部にまで領土を広げていたリトアニアは、彼らを傭兵として移住させたことが始まりでした。そして現在も、独自の民族性を守りながらこの地に暮らしています。

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通りに面して3つの窓が並ぶ造りが、カライメの伝統的な住居なんだとか。必ずしも三窓というわけではなかったのですが、独特なユニークな造形の住居をいくつか見かけました。

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そして、トラカイではたくさんの猫たちに出会いました。猫たちの人懐っこい表情を見ていると、ここがとても住み良い環境なのだと伝わってきます。

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城からの帰り道、湖畔を歩いていたら、湖とは反対側の野原からものすごい勢いで駆け下りてくる白鳥に遭遇。。

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白鳥たちの目当ては、このおばあさんが手に持っているパン屑でした。いつもこうやって白鳥たちにゴハンをあげてるんでしょうね。。なんとも微笑ましい光景。

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豊かな緑と水に囲まれたトラカイは、終日ここでゆっくりしていたくなるほど心地よい風土でした。リトアニアの魅力は歴史的建造物よりも、悠久なる自然の大地にあるのだと気づかされます。いつかまたリトアニアへ行くことがあったなら、地方の田舎町に滞在して静かな田園風景をのんびり歩いてみたい。〈続〉

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