2014年5月のエントリー 一覧

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ヴィリニュスに行ったら、必ず訪れておきたい教会が二つあります。
そのひとつが聖ペテロ&パウロ教会。旧市街の北端にある大聖堂から、更に北東側に15分くらい歩いたところにあります。地図で見るより意外に距離があるので、あまり時間がない場合はトラムを利用した方がよいかと思います。

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外観は地味な見映えなのですが、一歩中に入ると、その荘厳な美しさに息をのみます。。

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教会内の四方の壁を、白一色の美しい漆喰彫刻があますところなく刻まれていました。自然光によって写し出されるレリーフの陰影の美しさに、しばらく呆然と立ち尽くしてしまいます。

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聖ペテロ&パウロ教会は、ロシアからの解放を記念して17世紀後半に建造された教会。外装に7年、内装には30年も費やされ、イタリアから招集された彫刻師のもとで数百人もの地元の職人たちが携わったそうです。ここにある2000以上の漆喰彫刻には、ひとつとして同じものがないと言われています。

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この中吊りにされた帆船がとても印象なアクセントになっています。

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天使のレリーフがある裏面には、骸骨と死神の彫刻が刻まれていました。。

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そしてもうひとつ。必ず見ておきたいのが、旧市街の東側のエリアにある「聖アンナ教会」。15世紀末に建造が開始され、16世紀後半に完成した教会。当時の技術の粋を集めたもので、ゴシック建築の秀作と賞賛されています。

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この存在感と見事な造形美に圧倒されます・・・。その美しさに感嘆したナポレオンが、「我が手に収めてフランスに持ち帰りたい」と語ったという逸話が残されてるのだそうです。

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聖アンナ教会の内部。外観ほどにはこれといった特徴もなく、感動を誘うものではなかったです。おそらく内部は、後の時代に大幅に改修されたのでしょう。

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聖アンナ教会と後ろには、同じ時期に建てられた「ベルナルディン教会」があります。建物の半分以上は再建されたのだと思いますが、ゴシック様式とバロック様式が混ざりあった外観はなかなか見応えあります。聖アンナ教会と一体になった景観が素晴しい。

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教会の中に入ってみると、こちらは正教会の祭壇でした。外観は正教会っぽくなかったのでちょっとびっくり。。ロシアとの関係の中で、複雑な歩みがあったようです。壁面や内部は美しいフレスコ画に飾られていたそうですが、おそらく戦争で破壊されたのでしょう。現在は修復が進められているようで、建物内は工事中だらけでした。

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聖ペテロ&パウロ教会と聖アンナ教会、そしてベルナルディン教会。どれもヴィリニュスを代表する美しい歴史的建造物。ぜひ立ち寄ってみてください。〈続〉

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夜明けの門をくぐってすぐの脇道を少し入ったところに、とても気になる建物があったので、思いきって入ってみることにしました。

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中に入ると、こんな素敵な木彫り作品がたくさんあってびっくり! 木彫りの人形や動物たちが、どれもとてもユニークな造形でじっくりと魅入ってしまいました。椅子の肘掛けの先がワニ(蛇?)の顔になっててかわいい。。

その建物は、フォークアートの木彫作家・JONAS BUGAILIŠKIS氏の工房兼ショップだったのです。この日は残念ながらご本人はいらっしゃらなかったのですが、迎えてくださった女性の方(たぶん奥さま)に、工房内を案内していただきました。JONAS BUGAILIŠKIS氏はリトアニアでは大変著名な方で、全国から依頼のあるオーダーメイドの家具や十字架を制作したり、公共の場に置かれるレリーフなどを手がけたりしているそうです。

★JONAS BUGAILIŠKIS氏のオフィシャルサイト→ http://www.bugailiskis.com

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工房には大小の魅惑的な道具がぎっしりと並んでいました。制作途中の作品もたくさん。ここで実際に作っている姿を見せていただきたかったな。。

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「夜明けの門通り」をまっすぐ歩いて行くと、旧市庁舎がある市庁舎広場へと通じます。この広場の周辺には気軽に入れるカフェや魅力的なレストランがたくさ並んでいました。ランチがてら、そのうちの一軒のカフェに入ってみることに。

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店内のショーケースにはこんな感じで、いろんな惣菜やデザートなど並んでいるので、そこから選べばいいので注文が簡単。これなら失敗はないですね。。

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というわけで、適当に選んだ料理。遅めのランチだったので軽めにしたけど、どれもとっても美味しかった。リトアニアの料理は味付けが割とあっさり目で、脂っこくもないので、日本人の口にも馴染みが良いと思います。

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この手前の惣菜パンみたいなのは、「キビナイ」という羊肉を使ったミートパイ。リトアニアでは定番の料理。サクッとしたパイ生地が、ジューシーなひき肉の旨味を引き立てます。このお店のキビナイはレベル高かったですが、お店によってかなり差があるようでした。。

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南北に走るメインストリートを更に進んで行くと、途中からピリエス通りと名前が変わります。この辺りには雑貨や衣料品、民芸品などのショップがひしめいています。

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このかわいいカエル置物につい足が止まってしまいました。。手づくりの陶器らしく、みんなちょっとづつ表情が違っているのが楽しい。「Interios」というお店だったと思います。他にも素敵なカップや小物、生活雑貨がたくさんありましたよ。

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リトアニアの特産品と言えば、一番有名なのが「琥珀」。バルト海沿岸に眠る琥珀は、世界の琥珀埋蔵量の80%以上を占めるそうです。中でもリトアニアの琥珀の品質の高さには定評があります。旧市街を歩いていると、あちこちに琥珀のアクセサリーを扱っているお店を見かけました。ひとつひとつ吟味してたらキリがないくらいに。日本で買うより圧倒的安いです。

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普通のお土産屋さんレベルのものはちょっと・・・という方には、「ヴィリニュス琥珀博物館(Amber Museum Gallery)」がおすすめ。1階がショップになっていて、ちょっと値段高めですが、品質高くセンスの良いものを見つけることができます。

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地下のギャラリーには貴重な琥珀コレクションが展示されています。とても小さなスペースですが、この立派な琥珀の原石の展示は見応えありました。

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いつのまにか陽も落ちて、そろそろ晩ご飯の時間。もう一度市庁舎広場に戻ってきて、メインストリートに面した賑わっているレストランに目星を付けました。

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店内には昔の調理器具とかが飾ってあって、なかなか風情があります。意外に奥行きがあって、二階にもテーブル席があるようでした。人気のあるお店のようで、あっという間に満席に。

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お店のすごくノリのいいお兄さんに、おすすめを聞いたりしながら適当に注文。で、出てきたのがこの料理。またビーツを使ったスープでしたが、今回はピンクではなく赤い色。もう1品はツェッペリナイを揚げたような形状。ま、早い話しがメンチカツみたいなものでしたが、甘酸っぱいテイストのソースを絡めて食べるとなかなか美味しかったです。

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あともう一品、メジャーな郷土料理ばかりでは面白くないので、メニューの中からまったく予測がつかないものを頼んでみたのですが・・・

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・・・なんと、出てきたのはただの目玉焼き(笑)。

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このお店はお酒のメニューが豊富でした。バルト三国ではビールが格別に美味しいと何度も書きましたが、蒸留酒やリキュールのレベルも高いです。そしてリトアニアのリキュールは、エストニアやラトビア以上に種類豊富な印象でした。このお店には、リキュールの利き酒セット(?)なるものがあったので、さっそく注文。ひとつひとつ、じっくりと飲み比べ。どれもしっかり個性があって美味。酒飲みには幸せなひとときでした。。。〈続〉

★Amatininku Uzeiga→ http://amatininkai.lt/apie-restorana/

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「夜明けの門」をくぐるとその先は、世界遺産・ヴィリニュス旧市街。それまでの生活感漂う街並とは急に景色が変わります。

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ヴィリニュスの旧市街は、タリンのような中世の時代そのままを感じさせる街並ではなく、リガのような古き良きドイツの面影を感じる街並とも違い、カウナスの美しいゴシック建築が残る美しい街並にも及ばず、あまり特徴がなくのんびりとした素朴な古都という印象。

ヴィリニュスの街の歴史は13世紀まで遡ります。リトアニア大公国の王ミンダウカスがここに居城を築いたことから、リトアニアの政治的、軍事的な拠点として機能することになります。しかし、16世紀にポーランドとの連合国が形成されると、次第にポーランドに吸収される形となり、ヴィリニュスはポーランドの一地方都市に過ぎない存在になってしまいます。その後は悲劇極まるポーランド分割を経て、長くロシアの支配下に置かれる時代が続くのです。そのような複雑な歴史の変遷が、ヴィリニュスの街並に深く影響しているのでしょう。

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夜明けの門を入ってすぐのところにある「聖三位一体教会」の門と、「聖カジミエル教会」。ヴィリニュス旧市街には、大小様々な建築様式の教会があります。ひとつひとつ見ていたらキリがないほど、たくさんの教会がありました。

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向こう側に見えるのは「聖ヨハネ教会」。ヴィリニュス大学の中にある教会。リトアニアがキリスト教を受け入れた直後の14世紀後半に建造されたもの。

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旧市街の中心部を南北に走るピリエス通り。旧市街の南側エリアは車の乗り入れもあってあまり風情がないのですが、このピリエス通りのある北側のエリアには、古都らしい美しい街並が広がっています。

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横道に入ると土塀が続く趣き深い裏路地があって、ぶらぶらと当てもなく歩いていくと、角を曲がる度に様々な表情を見せてくれて楽しいです。

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ピリエス通りを更に北に進んでいくと、大聖堂があるカテドゥロス広場へと通じます。

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ヴィリニュスの街の中心となる、カトリックの大聖堂と鐘楼。 国家建設以前の多神教の時代には雷神ペルクーナスの神殿があったと考えられています。13世紀、リトアニア大公ミンダウカスがキリスト教を受け入れたとき、最初の教会がここに建てたのそうです。その後は破壊と再建が繰り返された末、18世紀には大規模な増改築が施されました。戦後にもかなりの部分が改修されたのでしょう。歴史の深さを感じさせる外観ではないのですが、その佇まいは壮観。

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鐘楼のすぐ近くに、人がひっきりなく集まる場所があります。そこには「Stebuklas(奇跡)」と書かれた1枚の敷石が。。。1989年8月23日、ソ連からの独立を求めるバルト三国共同のデモ活動が行われました。およそ200万人もの参加者が手をつなぎ、3カ国を結ぶ600km以上の「人間の鎖」を形成したのですが、そのときの起点となったのがこの場所なのです。私たちがエストニア、ラトビア、リトアニアと旅をしてきた道は、「人間の鎖」がつながった道と重なっていました。あの頃、TVの映像で見ただけの「人間の鎖」が、こんなにも途方もない距離だったことを直に体験して、あらためて感嘆と感動が湧き上がってきたのでした。。

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大聖堂の裏手にはこんもりと盛り上がった丘があって、その頂きにあるのが「ゲディミナス城」。ヴィリニュスとリトアニアのシンボル的な存在となっています。大きな城だったそうですが、現在は塔の部分しか残っていません。丘の上までは、徒歩またはリフトで登ることができて、塔の上から見渡す景色は絶景なのだそうです。

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残念ながら、この日は丘へ登るゲートが閉じられてました。。がっくりしてたら、愛想のいい白黒猫がなぐさめてくれました。。(^-^)

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この通りの向こうには、様々な文化施設や商業ビルが建ち並ぶ新市街が広がっています。〈続〉

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