2014年4月のエントリー 一覧

洗練された都会という印象のリガですが、街を離れて郊外へ出ると、こんな感じの長閑な田園風景が広がっています。

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この日の目的地は、"バルトのヴェルサイユ"と称せられる「ルンダーレ宮殿」。リガからラトビア南部のバウスカという町まで、バスで約1時間半。バウスカのバスターミナルから、バスかタクシーを使って15〜20分くらいの距離です。私たちは次のバスを待つと時間のロスが大きかったのでタクシーを使いました。

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土煙の立つ荒い舗装の道をタクシーはすごいスピードで走り、運転手が「ここだ」と言って私たちを降ろしてくれた場所は、周りをぐるりと見回しても何もない田舎。。。「ここが??」と疑ってしまうような場所なのですが、確かにそこが宮殿への入り口でした。低い緑の塀の向こう側には、まったく違う世界が広がっていたのです。

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手入れの行き届いた美しい庭園をしばらく歩いた先に、壮観たる「ルンダーレ宮殿」がその姿を現しました。

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ルンダーレ宮殿は、ロシアの女帝アンナに愛されたビロン公のために夏の宮殿として建てられたもの。建設中にビロン公がシベリアに流刑になってしまうなどの紆余曲折がありつつも、およそ30年もの歳月をかけて、1768年に宮殿が完成しました。

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宮殿内部は、贅を尽くした豪華絢爛な世界!上の写真は貴族の式典などが執り行われた「黄金の間」。なんとまぁ、きらびやかな世界なんでしょう。。

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こちらは舞踏会などに使われた「白の広間」。ロココ様式の漆喰彫刻が美しい。部屋全体は優美で落ち着いた雰囲気です。

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左が「薔薇の間」で、右は「公の寝室」。ひとつひとつの部屋はそれほど大きくないのですが、2階建ての宮殿には全部で138の部屋があるそうです。趣向の違うそれぞれの部屋に入る度に、その豪華絢爛さに目眩がしそうになります。。

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左の写真は「公婦人のトイレ」なのだそうです。便所でさえこの豪華さ!

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宮殿の地下にも展示室があります。詳しい内容はよくわからなかったのですが、地下室から発見された石碑や石棺の一部などが展示されていたようです。

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この宮殿は後年の戦争等で破壊されてしまったため、すべて近年になって再建されたものです。この地下室の展示品はおそらく、破壊を逃れた往時の宮殿の遺跡なのだと思います。私にとっては豪華絢爛な装飾より、素朴な魅力を宿したこれらの地下の展示品の方が興味深かったな。

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地下の売店で売っていた、かわいい動物たちのろうそく。買っておけば良かった。。

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ちなみに、宮殿内には超高級そうなレストランがありましたが、予約をしてないとダメらしくて門前払いでした...(涙)。もしかしたらドレスコードがあったのかもしれません。宮殿内レストランとは別に、食事&休憩ができるお店の建物が敷地内にあります。

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というわけで、まったく期待せずに中に入ってみたら、店内は思いがけず素敵な雰囲気。そして、ここの料理がとっても美味しかった。うれしい誤算。。

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この「BAUSKAS ALUS」というビールがとても美味しかった! バウスカに鋳造所があるビールで、1981年の創業時はコルホーズの一環だったらしいです。

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リガへのバスでの帰り道、窓から遠くにバウスカ城が見えました。

ルンダーレ宮殿へは、リガから日帰りで行くことができます。リガ〜バウスカ間のバスは頻繁に出ているのですが、バウスカ〜ルンダーレ宮殿のバスは本数がかなり少ないので、事前に調べておいた方がいいと思います。〈続〉

リガは、ハンザ同盟都市として13世紀末から急速に発展し、その後バルト海沿岸諸国の中で最も繁栄する大都市となりました。旧市街には往時の優れたゴシック建築が数多く遺されています。

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バスターミナルがあるのは旧市街の南東側。大きな道路の下を通る地下道を抜けた先に、旧市街の入口があります。

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旧市街に入ってほどなくして出会ったのが、この聖ペテロ教会でした。ゴシック様式の荘厳な美しい教会。私は時間なくて行けなかったのですが、ここから塔の頂上までエレベーターで上がれます。そこからリガの街全体を見渡すことができて、素晴らしい景観なのだそうですよ。

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市庁舎広場に抜けると、運良くここでも収穫祭をやっていました。後ろの印象的な建物は、有名な「ブラックヘッドの会館」。ブラックヘッドとは未婚の貿易商人の友愛会なのだそうです。第二次大戦で破壊されたのですが、近年になって忠実に再建されました。

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広場には大勢の人で賑わい、魅力的な露店がいくつか出ていました。この貫禄あるおばあさんのソーセージは絶品でしたよ♪

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広場中央の「聖ローランド像」の足下には、こんな巨大カボチャが。。(^-^)

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リガの大聖堂は、現存するバルト三国で最古の建物なのだそうです。リガの繁栄の歴史を物語るかのように巨大で威厳のある建物でした。ここを見るのを楽しみにしていたのですが、この時は修復工事の真っ最中で中に入れず残念。。

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ふと上を見上げると、屋根の上に可愛い猫の姿が。。これは有名な「猫の家」。裕福なラトヴィア商人の家だったそうです。大ギルドに加わりたいのに、ドイツ人が支配的なギルドには入れてもらえず、怒った彼がその腹いせとして、ギルドの会館に猫のお尻を向けて取り付けたのだそうです。。。なんとも可愛らしい「報復」ですね(笑)。

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リガ旧市街は建築物は、時代も様式もかなり幅広い。中世的なゴシック建築もあれば、そのすぐ並びに19世紀末の装飾を感じさせる建物もあったり。路地を曲がる度に、街の表情が変わります。新しいものと古いものが混ざり合いながら、大きな都市へと成長して行ったのでしょう。

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歴史的にドイツとのつながりが深いので、ドイツやウィーンの街並を連想する人が多いかと思います。でも、戦争で多くのものを失った現在のドイツの街並よりも、このリガの方が、往時のドイツらしさを今に伝えてくれるのかもしれません。

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この時はあまり時間がなくて、回りきれなかった見所をたくさんの残してしまいましたが、旧市街のこの美しい街並を歩けたのは、本当に素晴らしい体験でした。〈続〉

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バルト三国の旅、四日目の朝。窓の外は冷たい小雨。
夢のように楽しかったタリンでの二日間が終わってしまいました...。旧市街は割と小さなエリアなので、一日あれば余裕でひと通り見て回れると旅行記に書いてる人が多かったけど、私にとっては全然時間が足りなかった。当初は、リトアニアに行くことが一番の目的で、そのついでのような気分でエストニアへ行ったのに、結果的に一番好きになったのがエストニアでした。近い将来に、また必ずエストニアへ再訪しようと思ってます。

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タリンのバスのターミナルまでは旧市街から少し離れていて、トラムに載って7〜8分くらいかかったでしょうか。歩くと結構な距離です。バスターミナルはこんな風にぽつんと寂しい住宅地に建っていました。

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リガ行きのバスは、いくつかの運行会社があるようですが、私たちが利用したのは「Lux Express(http://www.luxexpress.eu/)」というバス会社。このバスがすごくきれいで充実した設備でびっくり。コーヒー等のドリンクは飲み放題。無線Wifiも使えます。もちろんトイレ付き。リガまで4時間程かかりましたが、途中で休憩も入るしとっても快適な旅でした。バルト三国でもその後の欧州旅行でも、この時のバスほどきれいで設備の良いバスに出会ったことはありません。

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国境のゲート跡。現在ではまったく使われていないようで人影も見当たりません。陸路でのはじめての国境越えでしたが、パスポートチェックもなくそのまま通過。EU圏内なので当然かもしれないけど、なんとなくちょっとがっかりな気分...(^^;)

途中一度だけ鉄道の列車を見かけました。バルト三国での長距離移動は、バスを利用するのが基本。主要都市を結ぶ列車もあるようですが、路線や本数がかなり少なくて時間のロスが大きいので、うまく旅の計画が組めなかったりします。

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タリンからリガまで、海岸に沿った道を走っていくのですが、車窓から見える景色はずっとこんな風景。バルト三国には高い山が少ないので、延々と緑の平野が続いています。あまりにも変化がなくて、ずっと見てると猛烈な睡魔が襲ってきます...。

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そしてリガのバスターミナルに到着。右に見える建物は有名な中央市場。タリンでの冷たい雨が嘘だったように、リガに到着した頃には、空はきれいに晴れ渡っていました。少し南下しただけなのに、ラトビアの太陽はエストニアよりもずっと明るく、あたたかに感じます。

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こじんまりとしたタリンに比べると、リガは街のスケールが大きくて、賑やかな大都市という印象でした。〈続〉

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